日本では、毎年多くの火災が発生しており、消防庁が公開している統計データを見ると、年々出火件数は減ってきているものの平成27年度では、39,046件。平成27年を含む過去10年の平均は、49,140件となっています。
平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | |
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総出火数 | 50,006 | 44,189 | 48,095 | 43,741 | 39,046 |
建物火災 | 26,795 | 25,583 | 25,053 | 23,641 | 22,149 |
車両火災 | 5,129 | 4,549 | 4,586 | 4,467 | 4,184 |
その他火災 | 18,082 | 14,057 | 18,456 | 15,633 | 12,713 |
平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | |
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総出火数 | 57,460 | 53,276 | 54,582 | 52,394 | 51,139 |
建物火災 | 33,049 | 31,506 | 31,248 | 30,053 | 28,372 |
車両火災 | 6,630 | 6,243 | 5,798 | 5,358 | 5,326 |
その他火災 | 17,781 | 15,527 | 17,536 | 16,983 | 17,441 |
そして、平成26年の消防白書を見ると、平成25年に発生した火災25,053件のうち、放水が必要な火災は、12,842件で全体の51%を占めています。
消防への連絡が入り、消防車現場到着から放水開始までの時間は、以下のようになっています。消防車現場到着時間の全国平均が約8分、現場到着から放水開始までが約2分ということですので、放水した建物火災の48%が5分を超え10分以内の放水です。
覚知から放水開始までの時間 | 出火件数(件) | 1件当たりの 焼損床面積(m2) |
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(昼) | (夜) | (昼) | (夜) | ||||
放水した 建物火災 |
5分以内 | 1,252 | 755 | 497 | 49.8 | 45.2 | 56.6 |
5分を超え-10分以内 | 6,218 | 3,705 | 2,513 | 83.1 | 78.6 | 89.7 | |
10分を超え-15分以内 | 3,723 | 2,129 | 1,594 | 106.1 | 101 | 112.9 | |
15分を超え-20分以内 | 1,008 | 512 | 496 | 117.4 | 100.6 | 134.7 | |
20分を超えるもの | 641 | 338 | 303 | 122.8 | 122.5 | 123.2 | |
放水した建物火災全体 | 12,842 | 7,439 | 5,403 | 91.2 | 85.1 | 99.5 | |
全建物火災 (放水しなかった火災を含む。) |
25,053 | 14,200 | 10,853 | 47.2 | 44.9 | 50.1 |
この動画の場合、天井まで炎が届く時間が短いですが、0:54秒で炎が上がり、その1分後には、天井にまで達しています。建物火災で天井まで炎が届く時間は、条件により異なりますが、発火から2分半ほどと言われています。炎にすぐに気付いたとしても、どうしようと迷っている間に1分はすぐに過ぎてしまいます。
炎は、放射熱(輻射熱)を発していますので、炎が大きくなればなるほど、周りを燃えやすい温度まで上げていく時間も短くなるため、あっという間に火災が大きくなっていきます。
ですから、初期消火をできる心構えと、火災報知器、消火器などの備えがとても重要になってきます。
知っておきたい消火器の設置義務が無い場所があるということを
下記の消火器設置義務の無い場所を見ていると、普段、皆さんが行くような場所も多いと思います。火を扱うようなところではないので、火災が発生しないということはありません。地震が起こった場合、世の中の火災の約15%を占める放火が起こった場合、消火器設置義務の無い場所にいた場合は、はっきりってかなり危険です。
火災を発見したとしても、初期消火ができない可能性が高い場所です。
場所 | |
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延面積150m2未満の建物 | 公会堂、集会場、待合、料理店その他これらに類するもの、飲食店、百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場、旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの、寄宿舎、下宿、共同住宅、病院、診療所、助産所、老人デイサービスセンター、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センター、有料老人ホーム、更生施設、助産施設、保育所、児童養護施設、知的障害児通園施設、通所施設に限る盲ろうあ児施設若しくは肢体不自由児施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、身体障害者福祉センター、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム、老人福祉法に規定する老人デイサービス施設、障害者自立支援法に規定する生活介護、児童デイサービス、短期入所、共同生活介護、自立訓練、就労支援施設(短期入所等施設を除く)、幼稚園、特別支援学校、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類する公衆浴場、工場、作業場、映画スタジオ、テレビスタジオ、自動車車庫、駐車場、航空機格納庫、倉庫 |
一定数量以上の危険物、指定可燃物を貯蔵し取り扱うもの及び地階、無窓階又は三階以上の階で床面積が50m2以上のものについては、上欄の規定にかかわらず設置が必要です。 | |
延面積300m2未満の建物 | 小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校その他これらに類するもの、図書館、博物館、美術館その他これらに類するもの、車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場、神社、寺院、教会その他これらに類するもの、前各項に該当しない事業場 |
初期消火1分を実現するために消火器設置義務がなくても消火器を設置したい
◆2本以上の消火器を準備する。
→1本で無理だった場合、2人同時で少しでも短時間で消火をするために、2本以上は用意したい。
◆複数階に分かれている場合は、階ごとに設置。
→消火器がある階と、出火した階が違った場合に、違う階に取りにいっていると時間がかかりますし、焦っていたら、なお更、階段の利用に時間がかかります。
◆複数の部屋があるのであれば、部屋ごとに消火器を設置するのが理想。
→出火した部屋ですぐに使えるように備えておくのが大切。どの部屋に消火器を置いてあったかと思い出しているだけで時間が経過していきます。1秒でも早く消火に取り掛かれるようにしよう。
◆店舗や施設にかかわる人全員が、消火器の場所と使い方を確実に知っているようにする。
◆炎が大きくなるスピードはとても早いといことを理解しておく。初期消火としては、炎の大きさが2m程度まで、天井まで達してしまった場合は、消火器で消火をするのは困難になってくるため、危ないと思えば速やかにその場を離れる。