新潟県糸魚川市で発生した火災から改めて考える火災の怖さ

新潟県糸魚川市大町での火災

2016年12月22日午前10時半頃に、新潟県糸魚川市大町1の商店街の店舗より火災が発生し、強風にあおられて延焼中というニュースが流れてくる。

情報が更新され、夕方のニュースでは、15時半頃現在で焼く140棟にも延焼。県知事が陸上自衛隊に災害派遣を要請となりました。

毎日新聞:糸魚川火災 140棟延焼、自衛隊に災害派遣要請 新潟

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先斗町の安全のために「先斗町火災対策ネットワーク会議(仮称)」というものが設置されるそうです

7月5日午後7時15分頃に発生した京都先斗町での火災。通報から3分で放水されたようですが、ほぼ火が消えたのが約4時間後。完全沈下を確認したのが、翌日6日午前6時15分頃ということです。

今回の火災をうけ、地域団体「先斗町まちづくり協議会,先斗町のれん会,立誠学区自治連合会・自主防災会」と関係機関「消防局,都市計画局,中京区役所,中京消防署,中京消防団,中京警察署」が集まって「先斗町火災対策ネットワーク会議(仮称)」を設置することが決まったという案内がでていました。

京都市消防局 【広報資料】先斗町火災対策ネットワーク会議(仮称)の設置について

12日の産経新聞の記事では、先斗町の店舗関係者の以下の話が載っています。

先斗町まちづくり協議会は年数回、店舗関係者らを集めた防災訓練などを開催しているほか、消火器の共同購入の呼びかけなども行っていた。協議会では「町全体で火災には注意していただけに残念。今後は消火器の設置をこれまで以上に厳しく促し、訓練も実施し、改めて注意喚起を行いたい。」

上記のような取り組みはとてもいいことだと思うのですが、気になったのが、取り組みに対して法的拘束力があるのかどうか?というのと、利用者を巻き込んだ形での取り組みにはなっていないということ。

本当に防火・防災につよい街づくりにしようとすると、先斗町の道路幅の見直し、建物の立替が必要になりますが、現時点での現実的な対策としては、現実は難しい。

次にできる対策としては、各店舗の初期消火に対する認識の強化と、消火設備の増設。これをどこまで徹底的にするかですが、努力ベースでの取り組みであれば、先斗町の全店舗で100%の意思統一をするのは、これも恐らく難しいのではと思われる。

火災が起きて間もない今は、みんなの防火に対する意識が高いかもしれませんが、時間が経過し、店舗の代替わりをすれば意識が薄れることも考えれれます。

また、地域団体と関係機関の新たな取り決めができたとしても、来店するお客さんがその取り決めを知らなければ、取り決めが守られているか知ることができません。

そこで、お客さんに、先斗町の防火・防災への取り組みに対して、店舗がどのような対策をしているかを、店頭及び店内に公開してもらい、監視してもらうようにする。

例えば、下図のような情報を店舗、店内やメニューに貼り付けます。
店舗防災情報公開

このような取り組みをして、今まではお客さんが先斗町の店舗を選ぶ基準は「料理の内容、味、店舗の雰囲気」だけでしたが、新たに、「防火・防災対策」をしている店舗かどうかを基準に加えて選んでもらうようにする。

つまりは、お客さんに対して防火・防災対策のできていない店舗を利用するということは、災害時にあなたが怪我や死亡する確率が上がりますよというメッセージを送ります。同じく、そこで働く従業員も同じことですので、きちんとした防火・防災対策をしない店舗運営をしようとするとお客さんや従業員は集まってきませんよという環境づくりをする。

これらのことは、お客さんにとってもメリットがあります。
先斗町全体の防火・防災対策の意識があがり、店舗の対策がわかれば、安心してお店を利用できますし、いざというときの避難行動を落ち着いてできるようになります。

お客さんとして先斗町にきて、防火・防災対策の意識無く、非常事態が発生するのと、意識を持った上で非常事態が発生するのでは、行動に明らかな違いがでると思います。

 

あなたがお客さんなら、防火・防災対策の取り組みを提示しているお店と提示していないお店、どちらを利用したいですか?

 

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7月5日先斗町で火災発生。このエリアでの防火防災を改めて考える。

6月24日に「京都河原町にある先斗町(ぽんとちょう)。道が狭いので地震火災が発生した場合にどうやって逃げるかを考えて利用したいですね。 」という記事を書いたばっかりだったので、今回7月5日に「茜屋純心軒」での火災発生のニュースを見たときはとても驚きました。

その後を記事を見ると、「茜屋純心軒」南側隣2軒を含む火災でした。大怪我や死者がでなかったのは幸いでした。

Googleのインサイドビューで「茜屋純心軒」の店内を見てみると、間取りは下図のようになります。出火地点は、1階の厨房。団体客用の炭を大量にまとめて焼いていたら燃え上がったそうです。
火災になるほどの炎が上がるということは、小分けで同時に焼いていたのではなく、1箇所でまとめて焼いていたのか、もしくは引火しやすいものがすぐ近くになったということでしょうか?
茜屋純心軒の間取り
インドアビューで見ていると、1階入り口すぐちかく、厨房横に消火器が設置されているのが見えますが、今回この消火器を使うことはできたのでしょうか?ニュースからはそこまでは読み取れません。

ニュース映像を見ると、同店舗の2階から逃げてきた人の「煙が熱くて普通の高さでは息なんか吸えないです。」(0:13秒頃~)というコメントがあります。

階段は、厨房横すぐにありますので、火災の大きさ、逃げ出すタイミングによっては、逃げるのが非常に困難になる可能性がありました。

1階奥の店内。

2階の階段を上がったところ。

今回の場所をGoolge Earthの上空からの映像で見るとこのようになっています。このエリアは、建物がつながっている、もしくは非常に密接している場所になりますので、地震火災や風が強い日の火災などの場合には、広範囲に火災が広がる可能性が高い場所です。店舗前の道は2m程度ですので、消防車は入れません。強風で炎があおられた場合、向かい側店舗への延焼も想定されます。
先斗町火災
「茜屋純心軒」の北側は、建物がつながっていませんでしたので、北側への延焼はなかったようです。

上空からの映像を角度を変えてみてみます。
先斗町火災先斗町火災

延焼しやすく、消火が難しいエリアであるということがよくわかると思います。地震で建物が崩れ2m幅の道をふさいだ場合は、消防隊の進入も非常に困難です。
先斗町

先斗町エリアは、先斗町公園をはさんで南北でエリアが別れることになりますが、南側エリアも北側同様密集地となっていますので、火災の発生は厳禁なエリアです。
先斗町先斗町

先斗町の鴨川沿いの店舗を川岸から見るとこのようになっています。納涼床は約3.5mの高さがあります。店舗入り口が地震でふさがれたとしても、納涼床には、避難経路となる階段はありません。
鴨川沿い床

また、先斗町公園も川岸へ出る通路はありません。一時避難場所として使うことはできますが、強風の日の火災の場合、木に燃え移る可能性がありますので、是非とも避難経路としての通路を作ってもらいたいですね。
先斗町公園を川岸から見たイメージ

【防火・防災面から見た先斗町の特徴】

  • 建物が密接している、且つ木造の建物が多い。
  • 避難経路が少ない。
  • 消防車が入れない。消防隊の進入ルートも少ない。
  • 川沿いの建物においては、川沿いへの脱出を避難経路として考えられていない。

【防火・防災面の強化を望むところ】

  • 消火器の増設及び、初期消火対応が重要であることの認識強化。
  • 先斗町消火組織の設立。(建物がつながっている、密接していることから、隣が燃えれば自分のところも燃えるという認識で積極的な初期消火活動をする)
  • 自動消火設備の設置。(地震で断水することを考慮し、独立型のパッケージ型自動消火設備を設置)
  • 2階以上からの避難を考え、防煙マスクを設置。
  • 避難ハシゴの設置。
  • 納涼床から避難が可能なように、避難階段の設置。
  • 通路の完全禁煙化。及び、炎感知器の設置。

とにかく、このエリアは、店舗に働く人全員が初期消火の重要性を認識し、実行できる体制にしていないと、お客さんはもちろんのこと、働いている自分たち自身が危険であるということです。

例えば、今回の火災が起きた店舗では、下図のような本数で消火器を設置してもいいのではないでしょうか?

消火器

粉末式消火器ですと、狭いエリアで噴射させると、前が見えなくなってしまいますので、中性強化液タイプの消火器を用意。
業務用ですと、消火器の有効期限が製造から10年となっています。
店員と、お客さんの安全に対するコストを考えると、14本×13.500円=189,000円です。
これを10年×365日=3,650日。189,000円÷3,650日という計算をすると1日当たりの安全コストはたった約52円/日です。

どうでしょう?1日約52円のコストで、最悪の事態になる確率を減らせるとすれば、安いもんですよね!

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広域大規模災害が発生した場合、火災が発生しても消防は来ない、来れないを前提に消火設備を準備しておきたい

1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災。そのときに、消防・救助活動をしていた神戸市消防局の方々の手記をまとめた本「阪神淡路大震災 消防隊員死闘の記」を改めて読んでみました。

この本のプロローグの一部を抜粋するとこのような記述があります。

いつもなら消防車がやって来て、いち早く火を消火してくれるのはずなのに・・・。消防車が来なかったり、来ても消火のための水が出なかったり、人々は恐怖のドン底に追いやられた。

新聞やテレビなどのマスコミは、「消防は何をしているんだ」「何時になったら消せるんだ」と、迫ってくる。しかし、消防隊員は弁解したくてもそんな機会もなく、汗まみれ、泥まみれの身体に鞭打って、次から次へと現場を転戦していった。・・・

地震発生時の消防の規模がどのようになっていたかを調べると、「神戸市消防局 情報写真館」の「阪神淡路大震災・神戸消防の活動」ページに、そのときの地元の消防及び、各方面からの応援部隊の人数は以下のように記録されています。

  • 地震発生時の各署の部隊編成は、11消防署16出張所、80小隊、警備人員(勤務中の人数)は292人であった。
  • 同日14時30分:生田消防署に対し、大阪市浪速区の中林建設から重機の派遣申し出があり、生田署がこれを要請。その後続々と消防隊が神戸に駆けつけ、17日24時時点でポンプ車隊群が182個小隊860人、
    ヘリコプター9機52人、自衛隊2562人となった。

そして、地震による被害で「市街地では消火栓が一部の地域を除き殆どが使用不能の状態であり、火勢が非常に強いため、消防隊は河川やプール等を水利に火災防御活動を行なった。」とあります。とにかく、火を消すための水が使えないということで、消火が困難であったということです。

これらのことを考えると、広域大規模災害が発生した場合、火災が発生しても消防は来ない、来れないを前提に私たちも消火設備を備えないといけないということを感じます。もちろん、私たち個人が準備できるレベルの消火設備では、火を押さえ込むのは難しいかもしれませんが、数分でも、数十秒での、炎の広がりを押さえ込むことができれば、逃げる時間をかせぐことができると思います。初期の段階なら鎮火できるかもしれません。

水道管や消火栓が使えないことを考えると、消火器や独立型の消火設備を準備を大切な家族を守るために準備したい。

YouTubeにも当時の記録動画がアップされていますので、一度は見ておくことをお勧めします。

Wikipediaにある日本の地震の年表を見ていると、あらゆる場所で毎年のように地震が起きているのがわかります。

今後発生すると予想されている南海トラフ地震の被害想定を見ていると、規模が大きすぎて想像しきれませんが、とにかく少しでも多くの備えをしたいですね。

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知っておきたい「密集市街地」という「地震時等に著しく危険な場所」があるということを

防災に関する情報を探しているときに知った「密集市街地」という言葉。この言葉は、平成23年3月15日に閣議決定された「住生活基本計画(全国計画)」(PDFファイル)で、平成32年までに、「地震時等に著しく危険な密集市街地の面積」約6,000haを概ね解消するという目標が出されてから、広く知られるようになっているんじゃないかと思いますが、全然しりませんでした。

もしかしたら、ニュースなどで目にはしていたかもしれませんが、自分自身に関係することだと感じていなかったから全く記憶に残っていない。

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京都河原町にある先斗町(ぽんとちょう)。道が狭いので地震火災が発生した場合にどうやって逃げるかを考えて利用したいですね。

阪急電車の河原町駅から徒歩5分、京阪電車祇園四条駅から徒歩3分の鴨川沿いにある先斗町(ぽんとちょう)。南北に通る長さ500mほどの道の両端に京都らしい建物のお店が沢山並んでいます。

とても風情があっていい場所なのですが、道幅が1.5~2mぐらいと狭いため、地震火災などのいざというときにどのように逃げるかを頭の中に入れておかないといけません。

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京都・錦市場商店街は、地震火災に対して安全か?

京都河原町周辺エリアの観光地として、地震火災が起こった場合にとても心配な場所がいくつかありますが、そのひとつが「京の台所」として親しまれている「錦市場商店街」です。

高倉通と寺町通りの間に位置し、間に道路を5本挟みますが、全長約380mほどの商店街です。

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