初期消火1分活動とは
初期段階の火災を見つけたときに、1分以内で消火を開始できるように消火器などの消火設備を整え、使い方を熟知しているようにする。消防法の規制対象外であるからといって、消火器などを準備しないのではなく、不測の事態が起こっても対応できるようにしようというものです。
なぜ、「1分」なのか?
火災が起こった場所の条件にもよって異なりますが、火災が起こって2分半ほどで天井まで届くような炎になります。天井まで到達してしまった場合、私たちが消火器で消火可能なレベルを超えてしまいます。
そのため、私たちが消火器を使って消火をするためには、なんとしても1分以内で消火ができる体制を整えておく必要があります。
YouTubeに火災実験をしてくれている動画があります。それを見ると、1分以内に消火をスタートさせない理由がよくわかります。
よくありそうな子供部屋という感じですが、もしそこで火災が起こったならあっという間に炎が広がります。
もうひとつは、家族団らんをするような部屋での火災実験。2分半を超えたあたりからの炎の広がりが恐ろしく早い!
火災が起こったら、「消火器あったけどどこだっけ?」なんて考えてる余裕はありません。
2階建ての家に住んでいて、出火元が2階。1階に消火器があったとするなら、2階で火災に気付いて、階段を下りて1階の消火器を取り、そして2階に戻ってということをしていれば、それだけで20~30秒は経過します。そして、火がついている場所で、安全ピンを抜き、ホースを火元に向けレバーを握る。これで約10秒として、1分以内の消火活動が可能になります。
平常時に1分以内でできることが、実際に火災が起こってパニックになれば階段の上り下りに時間がかかり、安全ピンを抜くことを忘れてしまえば、何もできなくて結局、部屋や家を焼損してしまいます。
消火器は、できるだけ移動距離が少なくてすむように最低でも各階に1本は準備をしましょう。
街に出かけると、実は消火器設置義務の無いところが沢山ある。
皆さんが、普段でかける場所に消火器設置義務がないところが沢山あります。火を使う場所ではないので大丈夫だと思ってしまうかもしれませんが、現在において考えておかないといけないのが、「地震火災」と「放火」です。
場所 | |
---|---|
延面積150m2未満の建物 | 公会堂、集会場、待合、料理店その他これらに類するもの、飲食店、百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場、旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの、寄宿舎、下宿、共同住宅、病院、診療所、助産所、老人デイサービスセンター、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センター、有料老人ホーム、更生施設、助産施設、保育所、児童養護施設、知的障害児通園施設、通所施設に限る盲ろうあ児施設若しくは肢体不自由児施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、身体障害者福祉センター、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム、老人福祉法に規定する老人デイサービス施設、障害者自立支援法に規定する生活介護、児童デイサービス、短期入所、共同生活介護、自立訓練、就労支援施設(短期入所等施設を除く)、幼稚園、特別支援学校、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類する公衆浴場、工場、作業場、映画スタジオ、テレビスタジオ、自動車車庫、駐車場、航空機格納庫、倉庫 |
一定数量以上の危険物、指定可燃物を貯蔵し取り扱うもの及び地階、無窓階又は三階以上の階で床面積が50m2以上のものについては、上欄の規定にかかわらず設置が必要です。 | |
延面積300m2未満の建物 | 小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校その他これらに類するもの、図書館、博物館、美術館その他これらに類するもの、車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場、神社、寺院、教会その他これらに類するもの、前各項に該当しない事業場 |
「地震火災」が起これば、電化製品などからの出火も考えられますので、決死して火災とは無縁ではありません。また、「放火」は、常に火災原因のトップにあります。ですから、火災は起こらないはずではなく、起こったとしてもすぐに対応できることが大切です。
平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | |
放火と放火の疑いの合計 | 9551 | 9563 | 8590 | 8786 | 8038 | 6441 |
たばこ | 4475 | 4752 | 4212 | 4454 | 4088 | 3611 |
こんろ | 4694 | 4178 | 3959 | 3717 | 3484 | 3472 |
たき火 | 2515 | 3443 | 2430 | 3739 | 2913 | 2287 |
平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | |
放火と放火の疑いの合計 | 12264 | 11268 | 11142 | 10776 | 11205 |
たばこ | 5914 | 5135 | 5707 | 5063 | 4997 |
こんろ | 6026 | 5990 | 6080 | 5534 | 5139 |
たき火 | 3380 | 2630 | 3176 | 3023 | 3021 |
もし、あなたが利用するお店や施設が初期消火1分活動の大切さを知ってくれているところなら、安心して利用できると思いませんか?
あなたが利用するお店の入り口にこのようなステッカーが貼ってあり、確実に消火器を設置し、従業員すべてがその使い方をきちんと理解しているというお店と、消防法による設置義務がないから、消火器置いていませんというお店があったらどちらにいきます?
※印刷用データは、こちらをクリック。
◆2本以上の消火器を準備する。
→1本で無理だった場合、2人同時で少しでも短時間で消火をするために、2本以上は用意したい。2本は横並びで置かない。地震火災を想定した場合、距離を置いて配置しないと、置いた場所が崩れた場合、使えなくなってしまうため。
◆複数階に分かれている場合は、階ごとに設置。
→消火器がある階と、出火した階が違った場合に、違う階に取りにいっていると時間がかかりますし、焦っていたら、なお更、階段の利用に時間がかかります。
◆複数の部屋があるのであれば、部屋ごとに消火器を設置するのが理想。
→出火した部屋ですぐに使えるように備えておくのが大切。どの部屋に消火器を置いてあったかと思い出しているだけで時間が経過していきます。1秒でも早く消火に取り掛かれるようにしよう。
◆店舗や施設にかかわる人全員が、消火器の場所と使い方を確実に知っているようにする。
◆炎が大きくなるスピードはとても早いといことを理解しておく。初期消火としては、炎の大きさが2m程度まで、天井まで達してしまった場合は、消火器で消火をするのは困難になってくるため、危ないと思えば速やかにその場を離れる。