7月5日先斗町で火災発生。このエリアでの防火防災を改めて考える。

6月24日に「京都河原町にある先斗町(ぽんとちょう)。道が狭いので地震火災が発生した場合にどうやって逃げるかを考えて利用したいですね。 」という記事を書いたばっかりだったので、今回7月5日に「茜屋純心軒」での火災発生のニュースを見たときはとても驚きました。

その後を記事を見ると、「茜屋純心軒」南側隣2軒を含む火災でした。大怪我や死者がでなかったのは幸いでした。

Googleのインサイドビューで「茜屋純心軒」の店内を見てみると、間取りは下図のようになります。出火地点は、1階の厨房。団体客用の炭を大量にまとめて焼いていたら燃え上がったそうです。
火災になるほどの炎が上がるということは、小分けで同時に焼いていたのではなく、1箇所でまとめて焼いていたのか、もしくは引火しやすいものがすぐ近くになったということでしょうか?
茜屋純心軒の間取り
インドアビューで見ていると、1階入り口すぐちかく、厨房横に消火器が設置されているのが見えますが、今回この消火器を使うことはできたのでしょうか?ニュースからはそこまでは読み取れません。

ニュース映像を見ると、同店舗の2階から逃げてきた人の「煙が熱くて普通の高さでは息なんか吸えないです。」(0:13秒頃~)というコメントがあります。

階段は、厨房横すぐにありますので、火災の大きさ、逃げ出すタイミングによっては、逃げるのが非常に困難になる可能性がありました。

1階奥の店内。

2階の階段を上がったところ。

今回の場所をGoolge Earthの上空からの映像で見るとこのようになっています。このエリアは、建物がつながっている、もしくは非常に密接している場所になりますので、地震火災や風が強い日の火災などの場合には、広範囲に火災が広がる可能性が高い場所です。店舗前の道は2m程度ですので、消防車は入れません。強風で炎があおられた場合、向かい側店舗への延焼も想定されます。
先斗町火災
「茜屋純心軒」の北側は、建物がつながっていませんでしたので、北側への延焼はなかったようです。

上空からの映像を角度を変えてみてみます。
先斗町火災先斗町火災

延焼しやすく、消火が難しいエリアであるということがよくわかると思います。地震で建物が崩れ2m幅の道をふさいだ場合は、消防隊の進入も非常に困難です。
先斗町

先斗町エリアは、先斗町公園をはさんで南北でエリアが別れることになりますが、南側エリアも北側同様密集地となっていますので、火災の発生は厳禁なエリアです。
先斗町先斗町

先斗町の鴨川沿いの店舗を川岸から見るとこのようになっています。納涼床は約3.5mの高さがあります。店舗入り口が地震でふさがれたとしても、納涼床には、避難経路となる階段はありません。
鴨川沿い床

また、先斗町公園も川岸へ出る通路はありません。一時避難場所として使うことはできますが、強風の日の火災の場合、木に燃え移る可能性がありますので、是非とも避難経路としての通路を作ってもらいたいですね。
先斗町公園を川岸から見たイメージ

【防火・防災面から見た先斗町の特徴】

  • 建物が密接している、且つ木造の建物が多い。
  • 避難経路が少ない。
  • 消防車が入れない。消防隊の進入ルートも少ない。
  • 川沿いの建物においては、川沿いへの脱出を避難経路として考えられていない。

【防火・防災面の強化を望むところ】

  • 消火器の増設及び、初期消火対応が重要であることの認識強化。
  • 先斗町消火組織の設立。(建物がつながっている、密接していることから、隣が燃えれば自分のところも燃えるという認識で積極的な初期消火活動をする)
  • 自動消火設備の設置。(地震で断水することを考慮し、独立型のパッケージ型自動消火設備を設置)
  • 2階以上からの避難を考え、防煙マスクを設置。
  • 避難ハシゴの設置。
  • 納涼床から避難が可能なように、避難階段の設置。
  • 通路の完全禁煙化。及び、炎感知器の設置。

とにかく、このエリアは、店舗に働く人全員が初期消火の重要性を認識し、実行できる体制にしていないと、お客さんはもちろんのこと、働いている自分たち自身が危険であるということです。

例えば、今回の火災が起きた店舗では、下図のような本数で消火器を設置してもいいのではないでしょうか?

消火器

粉末式消火器ですと、狭いエリアで噴射させると、前が見えなくなってしまいますので、中性強化液タイプの消火器を用意。
業務用ですと、消火器の有効期限が製造から10年となっています。
店員と、お客さんの安全に対するコストを考えると、14本×13.500円=189,000円です。
これを10年×365日=3,650日。189,000円÷3,650日という計算をすると1日当たりの安全コストはたった約52円/日です。

どうでしょう?1日約52円のコストで、最悪の事態になる確率を減らせるとすれば、安いもんですよね!

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